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 2017912日発行】

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        ■ 人事労務マガジン/9月号 ■

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【今号の内容】

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」について

定額残業制についての正しい運用を求める通達


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「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」
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 厚生労働省は8日、厚労相の諮問機関「労働政策審議会」に労働基準法改正を含む「働き方改革関連法案」の要綱を諮問した。要綱には、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の導入や、裁量労働制の対象の拡大、残業時間の上限規制、有給休暇の時季指定等が、一つの法案としてまとめられました。
この法案が国会を通過するかは不透明ではありますが、企業は今から法案を知っておく必要があるでしょう。今回は主なものを取り上げます。
 
 政府は今月下旬に召集予定の臨時国会に法案を提出し、一部を除き、原則2019年4月の施行を目指す予定です。
 
第一 労働基準法の一部改正(罰則も新設される)
 
1.時間外労働の上限規制
   36協定の限度時間
 

 

原則

特例

・月45時間

・年360時間

・年720時間

23456カ月平均で、休日労働を含んで80時間以内

1か月で、休日労働を含んで100時間未満

・特例の適用は、年半分を超えないよう、年6回まで

 
    適用猶予、適用除外
   ・自動車運転の業務については、5年後に年960時間以内の規制を適用。
 
   ・建設事業については5年後に適用(ただし、災害時の復旧・復興の場合は、当分の間、1か月100時間未満・複数月80時間未満以内の条件は適用しない)。
 
   ・医師については、5年の猶予期間を設ける。
 
 
2.     中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
 
 ・月60時間を超える残業に対する中小企業の割増賃金率は、2022年4月以降、現在の25%から大手と同じ50%に引き上げる。
 
 
3.     年次有給休暇
 
 ・年次有休休暇については、使用者は、年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち5日については、年次有給休暇の付与後、1年以内に期間に時季を指定して与えなければならないこととする。(ただし、労働者の時季指定や計画的付与制度により取得された年次有給休暇の日数分については指定の必要はない。
 
 使用者が時季を定めるにあたっては、労働者に対して時季に関する意見を聞くものとすること及び時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければばらないものとすること。  
 各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握するため、使用者は、年次有給休暇の管理簿を作成しなければならないものとすること。
 
 
4.     その他
     フレックスタイム制の清算期間の上限を3カ月に延長する。
     企画業務型裁量労働制に対象業務を追加する。
        特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
            ・職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする党の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、  休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
      ・制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととする。

     正社員と非正規(短時間・有期雇用労働者)の待遇差を禁止する「同一労働同一賃金」の実施(中小企業への適用は2020年4月)。

 

以上、概要をお伝えしました。

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定額残業制についての正しい運用を求める通達が厚生労働省より出されました。
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固定給の中で一定の時間外割増賃金を支給するという定額残業制について「時間外労働等に対する割増賃金の適切な支払いのための留意事項について」という通達が各労基署に向けて出されました。

時間外労働等に対する割増賃金の適切な支払いのための留意事項について 」

 平成29731日付け基発073127号「時間外労働等に対する割増賃金の解釈について」が発出され、平成2977日付けの最高裁判所第二小法廷判決を踏まえて、名称によらず、一定時間分までの時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金として定額で支払われる賃金についての解釈が示された。

 これ自体は直ちに労働基準法に違反するものではないが、不適切な運用により、労働基準法上の時間外労働等の割増賃金の支払義務等に違反する事例も発生していることから、時間外労働等に対する割増賃金の適切な支払いのために留意すべき事項を下記に示すため、監督指導等の実施にあたっては遺憾なきを期されたい。



1
平成2977日付け最高裁判所第ニ小法廷判決の要旨は次のとおりであること。
(1)
本件は、医師である上告人(労働者)が、被上告人(使用者)に対して時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金等の未払分の支払いを求めた事案である。
(2)
被上告人と上告人の間には、時間外労働等に対する割増賃金を年俸の中に含める旨の合意(以下「本件合意」という。)があったことから、上告人が未払いを主張する時間外労働等の割増賃金は全て支払い済みである旨主張した。
(3)
しかしながら、本件合意においては、上告人に対して支払われる年俸のうち、時間外労働等の割増賃金に当たる部分が明らかにされていなかった。
(4)
最高裁は、割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含める方法で支払うことについて、労働契約における基本給等の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であるとした累次の判例(最高裁平成6613日第二小法廷判決、最高裁平成2438日第一小法廷判決及び最高裁平成29228日第三小法廷判決)を引用し、本件については、上告人に支払われた年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金として支払われた金額を確定することすらできず、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することはできないことから、被上告人の上告人に対する年俸の支払により、上告人の時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできないと判示し、原審に差し戻した。

2
労働基準法第37条が時間外労働等について割増賃金を支払うことを使用者に義務づけていることには、時間外労働を抑制し、労働時間に関する同法の規定を遵守させる目的があることから、時間外労働等に対する割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含めて支払っている場合には、上記1を踏まえ、次のことに留意する必要があること。

(1)基本賃金等の金額が労働者に明示されていることを前提に、例えぱ、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金に当たる部分について、相当する時間外労働等の時間数又は金額を書面等で明示するなどして、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に区別できるようにしているか確認すること。

(2)
割増賃金に当たる部分の金額が、実際の時間外労働等の時間に応じた割増賃金の額を下回る場合には、その差額を追加して所定の賃金支払日に支払わなければならない。そのため、使用者が「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29120日付け基発01203号)を遵守し、労働時間を適正に把握しているか確認すること。

3
上記2を踏まえ、今後次のように対応すること。
(1)
窓口での相談や集団指導等のあらゆる機会を捉えて、上記2で確認すべきとした内容について積極的に周知すること。併せて、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の内容についてもリーフレット等に基づき説明し、周知すること。
(2)
監督指導を実施した事業場に対しては、時間外労働等に対する割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含めて支払っているか否かを確実に確認し、上記2に関する問題が認められた場合には、是正勧告を行うなど必要な指導を徹底すること。

以上、今後の労基署の調査において、定額残業制の運用を確認されることは間違いありません。自社の賃金計算と残業計算を今一度見直し、正しいかどうか調べてみてください。

 

 

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