労務問題Q&A

労働問題Q&A

 

Q:時間外労働・休日労働について

   現在弊社は労働組合との36協定において延長時間の限度を

     1ヶ月:30時間

     3カ月:90時間

     1年間:360時間

      と定めているが、1ヶ月の延長時間の限度を超えてしまうことが度々あるが、超えた時間を翌月に繰越すこと

      はできないか? 

 

A: 36協定で延長時間を定めた場合は、「1ヶ月:30時間」を超えた場合には、翌月に繰越すことはできません。

  労働組合と協議を行い、労働基準法で定めた限度時間「1ヶ月:45時間」まで延長するようにしてください。

  さらに、その限度時間を超えることがあるようであれば、労働組合と「特別条項付き36協定」を締結してください。

  

  特別条項付き36協定とは、

    臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き36協定」を結ぶことにより、限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。「特別条項付き36協定」について詳しいことは、当事務所にお問い合せ下さい。

  →お問合せ

 

Q: 賃金とはなんですか?

 

A: 労働基準法における賃金とは次のようなものです。

 

賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。

賃金となるもの   賃金とならないもの
 労働協約、就業規則によって支給条件が明確な、退職金・結婚祝い金・死亡弔慰金・災害見舞金  左に掲げるもののうち、労働協約、就業規則等で支給条件が明確でないもの
通勤手当、労働協約による通勤定期券  出張旅費、制服、作業衣 、役職員交際費、解雇予告手当
 休業手当  休業補償
 事業主が労働者に代わって負担した所得税・社会保険料の本人負担分  事業主が福利厚生のために負担した労働者の生命保険料(の補助金)
 住宅貸与を受けない者に均衡手当が支給されている場合の住宅の貸与 住宅の貸与、食事の供与 
 サービス料、奉仕料として徴収され、従業員に均等配分されるチップ  ホテルや旅館の従業員が客から受け取るチップ
   

 

Q: 平均賃金について教えてください。

 

A: 労働者の生活を保障するために使用者に義務付けられた手当や補償があります。その計算の基準となるものが平均賃金です。

平均賃金とは、前3カ月に支払われた賃金の1日平均額を平均賃金とします。

 

           算定事由発生日以前3カ月間に支払われた賃金の総額

                算定事由発生日以前3カ月間の総日数

 

 

賃金が、日給制、時給制、出来高払い制などの場合⇒上記の式と、下記の式を比較して高いほうの金額が平均賃金となります。

 

           算定事由発生日以前3カ月間に支払われた賃金の総額    

                算定事由発生日以前3カ月間の労働した日数  × 0.6

 

 

注意点①:「以前3カ月間」とは、算定事由発生日の前日より遡る3カ月間です。

注意点②:賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日を起算日とします。

 

 

Q:平均賃金を算定基礎とするものにはどのような手当てがありますか?

 

A: 次の手当てが平均賃金を基礎として算定されます。

 解雇予告手当  休業手当
 減給制裁の制限  休業補償
 障害補償  遺族補償
 葬祭料  打切補償
 年次有給休暇中の賃金  

 

Q.就業規則を作成するときの注意点を教えてください。

A.

その内容が職場にあったものでなければ、トラブルの元になりかねませんので、労使がよく話し合って職場の実態にあった就業規則を作成する必要があります。以下の点に気をつけて作成して下さい。自社で行われている職場規律や労働条件に関する各種制度や慣行を整理し、就業規則に記載すべき事項を選び出すこと。選び出したことと、労基法で記載しなければならないとされている事項とを照らし合わせ、漏れがないか点検、確認すること。従業員代表に就業規則の(案)を示し、従業員側の意見を十分聴くこと。就業規則の内容は、できるだけ分かりやすくし、かつ誤解を生むようなあいまいな表現にしないこと。 就業規則の作成に際して、従来の取扱を変更するような場合には、従業員に及ぼす影響(不利益)を十分にチェックし、必要に応じて代替措置を講じる等慎重に対応すること。

 

 

Q.パートタイマー用の就業規則を別に作るべきですか?

A.

パートタイマーの就業規則を別個に作るときは、パートタイマーを含む全労働者の代表の意見を聴くほか、パートタイマーの過半数を代表する者の意見も聴くように努めてください。

パートタイマーの就業規則を別個に作るときは、パートタイマーを含む全労働者の代表の意見を聴くほか、パートタイマーの過半数を代表する者の意見も聴くように努めてください。

Q:.パートタイマーに対する就業規則を作成しましたが、パートタイマー従業員からだけ、意見を聴取すれば

よいでしょうか。

A.

労基法90条は、当該事業場の過半数を超える労働者が加入する労働組合がある場合には、その組合、それがない場合には、その事業場の過半数の労働者を代表する者の意見を聴取しその意見書を添付して、届出することにしていますので、その事業場において、パートタイマーを含む全労働者の過半数が加入している組合、それがない場合には、その事業場の全労働者の過半数の代表者の意見を聴取しなければなりません。

 

 

Q.就業規則を一部のみ変更しましたが、全文届けなければなりませんか?

A.

変更された部分について届け出れば大丈夫です。なお、変更した部分が、就業規則全文の中に印刷などによって調製されている場合は、変更部分を明らかにしたうえで全文届け出ても結構です。
 
 

Q.退職間際の労働者から、残った年次有給休暇を退職日までの勤務日に充てたいといわれたら、拒むこと

はできませんか?

A.

年休は労働者の権利ですから退職間際の年休の申請に対して拒むことはできません。
実際上、退職前の業務の引継ぎなど必要がある場合は、退職日を遅らせてもらうなど、退職する労働者と話し合ったほうがよいでしょう。
 

Q.業務上の傷病や産前産後で休業している日数及び育児休業期間・介護休業期間は欠勤扱いとしてよい

でしょうか。

A.

労基法第39条第7項は、労働者が業務上負傷し、又疾病にかかり、療養のために休業した期間及び育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業をした期間又は同条第2号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が労基法第65条の規定により休業した期間は、出勤率の関係では出勤したものとみなす旨を規定しています。これらの休業期間については本来欠勤でありますが、出勤率の算定に当たっては出勤したものとみなして、労働者の故意過失によらないこれらの長期休業について年次有給休暇の付与に当たり不利に働くことがないように取り扱っているものであります。したがって、設問の期間は、出勤したものとして取り扱わなければなりません。

 

 

Q.1日の所定労働時間が6時間のパートタイマーに、時間外や休日労働をさせることができますか。

A.

パートタイマーについても、労働条件通知書(雇入通知書)、就業規則に定めがあれば、時間外及び休日労働をさせることができます。所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合であっても実労働時間が8時間以内であれば36協定の締結や届出がなくても、労基法違反にはなりません。

また、法定休日(毎週1日又は4週間を通じて4日付与することが必要)以外の休日に労働させる場合も、上記時間外労働と同様です。

法定労働時間を超えて労働させる場合及び法定休日に労働させる場合にあっては、36協定の締結・届出が必要であり、かつ、その時間の労働について割増賃金の支払いが必要です。

パートタイマー、特に主婦の場合は家庭の事情もあり、残業が可能なのかどうか採用面接の際に話し合って確認しておく必要があるでしょう。
 
 

Q.遅刻した者がその日に残業した場合も、残業時間に対する割増賃金の支払いが必要ですか?

A.

労基法上、時間外労働の割増賃金の支払いが義務付けられているのは、実労働時間(8時間)を超える労働です。したがって、遅れてきた場合は、その日の業務開始以降の実労働時間で8時間を超えた部分についてのみ割増賃金を支払うことになります。

 

 

Q.給料が最低賃金を上回っているかどうかを比較する場合に通勤手当、職務手当、賞与は含めてもいいの

でしょうか。

A.

最低賃金と実際の賃金を比較する場合に、含めない賃金については、最低賃金法の省令等によって、「①臨時に支払われる賃金(結婚手当等)、②1カ月を超える期間ごとに支払われる手当(賞与等)、③所定時間外労働、所定休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金、④当該最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)」となっています。したがって、ご質問のうち通勤手当、賞与は比較の際は含めないということになります。
 

Q.確定拠出年金法による企業型年金の事業主掛金は、賃金に該当しますか。

A.

確定拠出年金法による企業型年金においては、事業主掛金は資産管理機関(個人別の資産を管理する機関)に対して納付され、年金加入者である労働者は投資商品を選択して自ら運用指図を運営管理機関(企業型年金の管理を行う機関)に対して行ないます。このように、事業主掛金は資産管理機関において個人別に資産管理されるものの、労働者が自由に処分できるものではありません。またこの掛金は、規約において掛金額を定め、事業主が毎月の掛金を翌月末日までに納付されていることとされており、一定の受給要件を充たした場合にのみ労働者に対し給付が開始される点は、既存の厚生年金基金制度や中小企業退職金共済制度と異なることはありません。したがって、確定拠出年金の事業主掛金が賃金に該当するかどうかを明確に解釈を示した通達は未だありませんが、他の制度における考え方と同様、労働基準法第11条の賃金に該当しないと考えられます。
 

Q.定額残業手当を超えた場合の割増賃金の計算方法はどのようにするか

(問)
 当社では、資格等級別に定額残業手当を支給しようと考えています。もちろん、実際の残業時間によって算出された額が手当額を上回った場合には、差額不足分を支給するものとします。この定額残業手当は時間外労働に対する割増賃金を前払いするものと考えられますので、定額を超えた場合の割増賃金の算定基礎には算入しなくてもよいと考えますが、いかがでしょうか。

(答)
 割増賃金の算定基礎には、家族手当、住宅手当等算定基礎から除外できる賃金(7項目)以外は全て算入しなくてはなりません。定額残業手当はこのいずれにも該当しませんが、就業規則等により時間外労働に対する手当であることが明記され、実際に行われた時間外労働に対し、当該手当の額が法定額を下回った場合にその差額を支払うこととされていれば、労働基準法上の時間外労働手当であり、労働基準法第37条第1項が定める「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上」の「通常の労働時間の賃金」には該当しませんので、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくてもよいことになります。

 

Q.残業手当等の端数処理はどうしたらよいか

(問)
 賃金計算のときにいつも思うのですが、残業手当や有給休暇手当を計算すると必ずと
いっていいほど円未満の端数が出ます。この端数は労働基準法上どの程度まで処理 が認められているのでしょうか。

(答)
 労働基準法上認められている端数処理方法は次のとおりです。

(1)割増賃金の計算
A.1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げる。

B.1か月間における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、Aと同様に処理する。

(2)平均賃金の計算
C.賃金の総額を総暦日数で除した金額の銭未満の端数を切り捨てる。なお、平均賃金を基にして休業手当等を計算する場合は、特約がなければ円未満の端数処理はAと同じ。

(3)1か月の賃金計算
D.1か月の賃金額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した残額)に100円未満の端数が生じた場合は50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げて支払うことが出来る。

E.1か月の賃金額に1,000円未満の端数がある場合は、その端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことが出来る。
なお、E・Dの取り扱いをする場合は、その旨就業規則に定めることが必要です。
 

Q.年俸制の適用労働者の範囲は

(問)
 当社は年俸制を導入しようと考えているのですが、年俸制を適用する労働者はどのような範囲にするのが適切といえるでしょうか。
すべての従業員に適用することは不可能でしょうか。

(答)
 年俸制は本来労働時間に関係なく、労働者の成果・業績に応じて賃金額を決定しようとする賃金制度です。しかしながら、労働基準法では労働時間の長さをとらえて規制をしていますので、年俸制を導入した場合にも、実際の労働時間が法定労働時間を超えれば、時間外手当を支払わなければならないことになります。

 ただし、労働基準法では、管理監督者、機密事務取扱者については、労働時間に関する規制がありませんので、労働時間が法定時間を超えても割増賃金を支払う必要はないとされています。また、裁量労働制などのみなし労働時間制の場合には、実際の労働時間に関係なく、みなし時間に応じた年俸が設定されていればよいことになります。
 
 年俸制は労働時間とそれに応じた賃金という制度となじまないものですから、年俸制を適用する労働者は上記の二つに該当する職種が適切であると思われます。一般職員に年俸制を適用することは不可能ではありませんが、年俸制を適用する場合、実際の労働時間が法定労働時間を超えれば、時間外手当を支払わなければなりません。

 なお、割増賃金の支払を必要としない労働者であっても、労働時間の把握はする必要がありますので留意してください。

Q.健康診断は、業務時間中に行わなければならないのですか?

A.

一般の定期健康診断については、特に所定労働時間内に実施する義務はありません。もっとも、できるだけ労働者の便宜をはかり、所定労働時間内に行うほうが望ましいです。

なお、特殊健康診断については、所定労働時間内に行わなければならず、時間外などに実施すれば、その時間について割増賃金を支払う必要があります。

Q.会社で実施する定期健康診断を拒否する労働者がいる場合は、その者の健康診断は、行わなくてよいで

すか?

A.

労働者には健康診断を受診する義務がありますから(安衛法66条5項)、原則として労働者は事業者の実施する健康診断を拒むことはできません。

ただし、労働者が他の医師による健康診断を受け、その結果を証明する書面を提示すれば、重ねて行う必要はありません。

健康の確保の大切さ、そのための健康診断の重要性などについて日頃から労働者に説明しておくことが大切です。

 

Q私は、トラック荷台において荷の積み降ろし作業中、トラック荷台から転落し、両足を骨折してしまい、現

在、入院加療中であり、労災保険より療養補償給付及び休業補償給付を受けております。私は、来月末日

で定年退職となりますが、主治医によれば、今月中に退院できるが、仕事の復帰は当分出来ないと言われ

ており、まだしばらくの間、療養・休業が必要となる見込みです。このように、退職後も業務上で被った負傷

の療養を行う場合、労災保険給付は受けられるでしょうか。

A.

労働者が業務上の事由により負傷または疾病を被った場合には、災害の性質や、負傷または疾病の程度によっては相当長期間療養しなければならないこともあります。このような場合、当然考えられるのがご質問のような労働者の退職という問題です。労災保険給付が、雇用関係の存在している期間中についてのみ補償され、退職等の理由により雇用関係がなくなった場合は補償されないということになると被災労働者の被った損害の一部しかてん補されないことになります。

例えば、療養補償給付について、退職後は支給されないとなると、業務上の事由により負傷し療養しているのにもかかわらず、その治療を受けられないという不合理なことになります。また、休業補償給付については、定年退職後は当然賃金を受けることができなくなるので、休業損害が生じないため、補償を受けることができないのではないかとの疑問が生じるかも知れません。しかしながら、この保険給付を受ける権利を雇用関係の存在する期間のみ限定することは、休業補償給付が賃金損失に対する補償であるという点からして、不合理なものといえます。なぜなら、負傷していなければ、定年により被災した事業場を退職し、当該事業場から賃金を受けないとしても、他の事業場に再就職し、賃金を得ることもできるからです。以上のように、業務上の事故に対する補償は雇用関係の存続とは別に考えられることになります。

このことは、労働基準法第83条及び労災保険法第12条の5で『補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない』と規定されています。ご質問のように、たとえ、退職の理由により使用者との間に雇用関係がなくなったとしても、支給事由が存在する限り保険給付を受けることができます。
 
 

Q.先日、当社従業員の甲が営業車で営業活動中に事故を起こしてしまい、入院してしまいました。当社とし

ては、事故の原因が、甲の運転の際の無茶なスピードの出し過ぎということもあり、労災の請求を認めたく

ないのですが、このようなことは可能なのでしょうか。また、この場合は業務災害にならないと思うのです

が、いかがでしょうか。

A.

ご質問では、本人が不注意により、営業活動中事故を起こしたため、労災の請求を認めたくないということですが、結論から先に申し上げますと、会社が被災者の労災保険を請求する権利を制限することはできません。といいますのも、労災保険給付の請求は、通常、被災者本人の意思によってするものであり、その請求に基づいて労働基準監督署長が支給・不支給の決定をするものだからです。

それでは、労災保険給付の請求は被災者の意思であるから、使用者は、申請手続きなどを被災者にすべて行なわせればよいかというと、必ずしもそういうわけでもありません。すなわち、労災保険法施行規則第23条第1項で、『保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続きを行うことが困難である場合には、事業主は、その手続きを行うことができるように助力しなければならない』とされています。ところで、ご質問の災害ですが、業務としての営業活動を行なっている際に、運転していた車両の事故により甲さんは負傷されたわけですから、業務遂行性及び業務起因性が認められるといえ、結局、本件は業務上の災害として認められるものではないかと考えられます。

ただし、労災保険法第12条の2の2においては、災害発生の原因が被災した労働者の故意の犯罪または重大な過失による場合には保険給付の一部が支払われないこととなっています。ご質問の場合、事故の原因が甲さんの運転の際のスピードの出し過ぎによるものとのことですから、保険給付の一部が支払われない可能性があるといえるでしょう。

 

  

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